高級寿司屋へ行こう!〜たかおか編〜【新】
寿司の食べ歩きが好きな私が、独断と偏見に満ちた感想を、ただ垂れ流していこうと思ってます。もちろん、どこもすばらしいお寿司屋さんなので、美味しいのは当たり前ですが、なんだかんだと意見が言ってみたいのです。なので、あくまで個人の意見になります。面白半分、話半分で見て頂ければと思います。
それでは、1軒目のお寿司屋さんです。
◇情報◇
店名 たかおか
住所:千葉県千葉市中央区登戸1-7-6 アイシンビル 1F
電話:043-306-6269
<お店について>
先ずお店に入って驚いたのが、僅か6席のその空間。つけ場とカウンターとの距離もかなり近いです。高級店によくある独特の緊張感、圧迫感が溢れ出ても不思議ではありませんが、そういった類いのものはまるで感じません。親方のお人柄なのでしょう。
<値段について>
ビール1本と日本酒(1合)4,5本呑んで二人で43000円ぐらいでしたから、恐らくコース18000円/人だと思います。千葉駅から徒歩15分程の住宅街という立地を考えると、なかなかです。銀座とそう変わらないですね。お酒の値段は良心的でした。種類も幅広いので楽しめます。人気銘柄も多く取り揃えてますが、お任せでも偏らず、バランスよくチョイスしてくれて楽しめました。
肝心のコース内容ですが、ツマミが6品、握りが14貫、そして最後に玉子焼きとお味噌汁。十分の内容でした。お腹もいっぱいです。品数を考えるとコース金額も納得です。ただ立地を考えると、どうしてもハードルは上がります。
それでは、料理の感想になります。
◎ツマミから
〈箸休め:ワカメと蓮根をぽん酢で〉
此れ良かったです。ワカメを出すお店は多いですが、蓮根は初めてです。蓮根気に入りました。美味しいです。
〈煮蛸・蒸し鮑〉
正直、煮蛸と蒸し鮑は凡庸でした。鮑はもう少し大きめにカットしたほうが、弾力ある食感をより楽しめて私は好きです。
〈鰹〉
美味しかったです。水分も適度に抜けておりモチモチとした食感が心地良かったです。薬味がにんにくや生姜でなく、叩いた葱(普通の葱じゃなかったかも。大将が説明してくれましたが、忘れてしましました。。)を使ってました。香りが良く、鰹とよく合います。しかし、燻してあったので鰹自体の香りがどうしても感じづらくなってしまっている印象でした。特に初鰹に近い脂の少ない鰹なので、香りを楽しめないのはちょっと残念です。燻すと単純に旨いですが、ややもすると誤魔化しにもなってしまいます。
〈赤むつのお椀〉
お出汁(ダシ)が美味しいですね。一気に飲んじゃいました。
〈白子の西京焼〉
若干パサつきがあり、個人的には正直微妙でした。
シンプルに軽く塩を振って焼いたものが食べたかったかも。
〈蛤の茶碗蒸し〉
蛤の茶碗蒸し、って初めて食べました。お出汁(ダシ)美味しいです。ただ最後にかけた柚子がちょっと多いかなと感じました。上品なお出汁が若干邪魔されてる気がします。
〈おつまみ全体として〉
全体の構成がちょっと不満でした。特にお椀と茶碗蒸しとか、最後にも味噌汁が出ますので、汁物ばかりという印象です。赤むつはオーソドックスに塩焼きでも良かったような気がします。
また、お酒のアテになるようなツマミが少量でもあると嬉しいですね。王道な感じのツマミが多かったので、ちょっと印象が薄くなってしまいました。此方でしか食べられないという一品が欲しいですね。
◎握りについて(ピックアップしてます)
〈鯖の棒鮨〉
お客様の目の前のつけ場で、鯖を炭で炙ってくれます。面白いです。敢えて目の前で行うことでガスバーナーではないですよ、と無言の拘りを見せております。こう云うパフォーマンスは好きです。鯖とシャリの間に挟めた大葉や茗荷もアクセントで心地よく、爽やかで美味しかったです。ただ若干鯖の生臭さがあったのが残念です。
〈金目の漬け〉
最初の方で(実質握りでは一番最初)金目鯛のような脂の多い魚は珍しいと思いましたが、脂っぽさはないです。敢えて脂を落とし、漬けにして握る。こういった金目の握りは初めてです。だから最初に握ってるのだと理解しました。香りを楽しむ金目。これも面白いです。
〈鮪〉
赤身、中トロ、大トロと3貫続く王道パターン。鮪は鮨屋の看板といいますが、鮪に力を入れているお店ではよくある順序です。しかしここに拘るのであれば、築地で一番を仕入れるぐらいの拘りを見せて頂きたい。そうでなければ、あえてここに拘る必要性はないんじゃないかと思います。鮪は高いです。鮪の握りを増やせば、他で調整が必要になります。中トロ、大トロのどちらかにして、もう一貫は違うもの(個人的には〆もの)とか、または赤身は漬けにするとかの親方の仕事が見たかったです。
〈煮蛤〉
一番印象に残った握りです。煮詰めもサラリとして蛤の味を強く感じました。大振りで肉厚で旨かったです。煮蛤は特別好んで食べるタネではないのですが、今回一番でした。
〈車海老〉
活きた車海老を客前で串に刺します。これまた面白いです。こういう演出は高級店では逆に少ないと思います。鯖鮨の炙りと同じで、私は好きなパフォーマンスです。車海老の茹で時間はもう何秒か早い位の方が私は好きです。ほんの少しレア感が残ってるのが私の好みです。折角の活きた車海老ですしね。あと、車海老の握りは半分に切らない方が好みです。あくまで好みです。大きいのをハグハグと食べるのが幸せなんです。でも半分にすることで味噌の濃厚な味わいと海老の甘みをダイレクトに楽しむという2種類を味わえる狙いがあるのでしょう。
〈穴子〉
笹の葉に乗せて軽く炙ってから握ります。ふわりとして旨いです。やはり煮詰めの甘みが抑えてあるので穴子の香りを感じます。笹の葉に乗せるのも目の前で行ってました。
〈握り全体として〉
こちらのお店のシャリは好きです。固めでほろっと崩れる感じ。握り自体もかなり優しく握ってる感じでした。赤酢を使ってるようでしたが、がっつり酢を立たせてる感じではなく、ここも優しい感じ。どのタネにも合わせやすいでしょう。ただ個人的には、もう少しシャリを多くしてもらった方が好きですね。ほんの少しでいいんです。お鮨はシャリが主役だと思いますのでお米を食べてる感覚をもっと味わいたいのです。せっかく美味しいシャリだったので少し物足りなさが残りました。
また余談ですが、私が好きな鮨のフォルムは俵型の腰高のお鮨が好きです。でっぷりして、少し高さがあるお鮨です。置いた時にタネが下につかないで浮いてるのが理想です。こちらは、少し長細い感じの握りでした。タネもびとっと下についておりました。これもあくまで個人的な意見なのですが、あまり下につくと下品に見えてしまいます。
〈お味噌汁〉
海老のお出汁(ダシ)最高に美味しかった。此方のお出汁は本当に美味しいですね。少ししょっぱさを感じたのは残念でした。
◎総評
全体的にどれも美味しかったです。何より、全てにおいて非常に丁寧に仕事をされているな、と感じました。親方の謙虚で真面目な姿勢をひしひしと感じました。また、随所に新しいことに挑戦していこうとするひたむきさも感じました。あまり多くを語らない親方ですが、その姿に本当に鮨が好きなんだなぁと、そして地元の千葉を愛してるんだなぁと感じました。ただどれも優しく、ちょっと優しすぎるというか、インパクトのある、印象に残る一品がなかったのは残念です。
親方はまだ32歳です。鮨屋を400軒は食べ歩いたそうです。その拘りも十分に感じました。随所に見せるパフォーマンスもお客を楽しませたい、美味しいお鮨を食べさせたいと云う親方の気持ちなのでしょう。今後の親方が、どのような鮨を握っていくのかに興味があります。まだまだお若いので、伝統や型に絞られずに親方らしい鮨を追求して頂きたい。どんどん攻めて頂きたい。常識を取っ払ってもらいたい。などと勝手なことを言って終わります。
少し時間を置いてまた食べに行きたいと思います。
<献立>
【ツマミ】
・煮蛸
・蒸し鮑
・鰹
・赤むつのお椀
・白子の西京焼
・蛤の茶碗蒸し
【握り】
・鯖の棒鮨
・金目のづけ
・小肌
・イサキ
・鳥貝
・赤身
・中トロ
・大トロ
・墨烏賊
・煮蛤
・鯵
・車海老
・馬糞雲丹の軍艦
・穴子
【最後に】
・玉子
・海老出汁の味噌汁
<その他写真>
(文=アプ田)